COLUMN

「SDGsウォッシュ」にならないために 成長戦略

待ったなしの気候変動・環境汚染対策

気候変動や地球規模の環境汚染によってもたらされる、重大な危機を回避するためには、2030年までにいかに多くの有効な対策を世界規模で、ということは国際協調のもと繰り出すことができるかにかかっている、といわれています。ここでは、国連、各国政府、社会、企業、さらに生活者一人ひとりの意識変革が求められています。また、特に企業においては、そのインパクトの直接的な大きさから、果たすべき役割と責務も重大です。

企業によるSDGsへの取り組みは、気候変動などの待ったなしの状況からも、もはや選択の問題ではありません。このような、目の前に差し迫った危機への正しい理解と意識変革が、まずは企業の経営者そして経営陣に求められています。

次に、この認識が、経営者や経営陣のみならず、さらには社会全体で共有されていれば、ウォッシュがいかに社会から見て、リスクが高く、結果として企業価値の毀損につながりかねない要因をはらんでいる企業行動であるかが分かります。

ところが、現代の企業は、その存立基盤から歴史的に資本主義に深く根ざし、市場やステークホルダーから常に利益追求の圧力にさらされています。SDGsや気候変動などの対策は、どうしても利益の圧縮要因とみなされ、さらには「グリーンウォッシュ」という言葉が表すようにマーケティング的な“トレンド”などと捉えられがちです。このため、自然に、あるいはそれとは意図しなくても、ウォッシュに流されやすいという傾向があります。このことは、SDGsは麻薬であるとの見方(たとえば、「人新生の『資本論』」(斎藤幸平著))が決して無視できないことと合わせて、企業経営者や経営陣は、常に念頭において置くべきでしょう。

どうすれば「ウォッシュ」を回避できるか

経営者、経営陣の意識変革の次に必要なことは、企業全体として、気候変動や地球規模の環境汚染がもたらす重大な危機、およびSDGsへの正しい理解と認識を目的とした、社内浸透諸施策の実施があげられます。意識変革は企業文化に深く根ざしており、社内浸透には、場合によっては年単位での時間がかかります。このことからも、社内浸透諸施策は、直ちに着手すべき経営課題です。

同時に、“本業”がSDGsの諸ゴール達成への挑戦となっていることが求められます。つまり、企業経営において、収益に直接結びつく企業活動が、真剣にSDGsに取り組むものとなっているかどうかです。

そして、定性的な記述だけではなく、科学的な根拠に基づく定量的なゴール(目標)設定と成果を外部に向けて、しっかりと情報発信することが重要です。

「SDGsウォッシュ」とみなされがちな例

この外部への情報発信を怠り、たとえば17のゴールの内、関連する番号を羅列し、若干の文章による説明で済ませているのであれば、せっかく真剣に取り組んでいても、「ウォッシュでは?」と見なされてしまいます。

また、従来のCSR的な、余剰リソース部分での取り組みで済ませている場合も、やはり「ウォッシュ」と見なされがちです。つまり、“本業”、事業経営そのものがSDGsのゴールに対する取り組みになっていないのであれば、いくらSDGsへの取り組みや姿勢を自社ウェブサイトなどに掲載しても同様の評価を受けてしまいます。

さらに、定量的に目標が示されていたとしても、あきらかに過大な数値や、定性的な成果の表記にとどまっているケースもよく目にします。おそらく、目標数値設定も含めて外部のマーケティング支援サービスなどに丸投げしているのでは、とも勘繰ってしまいます。

このように、その企業のSDGsに対する本気度は、たとえばウェブサイトの情報開示内容を見るだけで結構分かってしまうものです。現時点では、残念ながら、まだ多くの日本企業のウェブサイトは、たとえ真剣に取り組まれている、あるいは取り組もうとされていたとしても、おそらく「ウォッシュだろうな」と思わせるものが大半です。実際に、「うちのSDGsの取り組みは、推進部署があるので、そこで色々とすすめてられているようだ」、という大手企業の現場担当者の声は、今でもよく聞きます。

結局、「SDGsウォッシュ」にならないように気をつけるとは、本業において、かつ全社レベルで同じ危機感と認識を持ち、真剣に取り組むこと以外になく、さらに誤解を生まないよう、科学的かつ充実した情報開示を行うことに尽きるのではないでしょうか。

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