COLUMN

SDGsと新規事業 新規事業

SDGsの本格普及

SDGsの本格的な普及と、それに呼応する形でのESG投資の比重の高まりは、日経新聞をはじめ、ほぼ毎日どこかで必ず耳にするようになりました。今、まさに官民をあげてSDGs啓蒙が広く行われている真最中です。先日(2020年5月)も日経新聞に大々的にSDGsイベントの告知が出ており、ウェブでもセミナーをLIVE配信されていたので、見られた方もおられると思います。

セミナー以外にも、面白いツールがあります。SDGsの啓蒙を目的としたSDGsカードゲームです。現在、公認ファシリテータ―になるための研修会が活況を呈しており、なかなか参加できないという話を聞いています。そして、徐々に産官学のさまざまな現場でカードゲームが実施されるようになってきています。実際にカードゲームの現場を見てみると、ゲーム感覚で社員が楽しみながら取り組んでいます。SDGsの意義について学ぶことができる、なかなかよくできたいツールであるとの印象を受けました。

一方では、SDGsにはこんな声も聞かれます。CSRがそうだったように、掛け声は高くても、結局、企業にとっては何の価値も生まないような“社会貢献”のあらたなバズワードの誕生、またある経営者からは、毎年の監査のためだけに規定文書を揃えるISOのようなイメージ、どちらにしても企業にとっては“費用(コスト)”でしかない必要悪みたいなもの、とも伺いました。

SDGsに取り組む目的

いったい本当のところはどうなのでしょう。それを考える上で役に立つのは、SDGs推進に携わる個人や組織が何を目的としているかを推測してみることです。

たとえば、地方自治体であれば、SDGsによって地域経済が活性化され、税収が増え、住民にその恩恵を還元していくこと、が目的としてはふさわしいでしょう。そして、推進担当者は、活動テーマ・報告書の数を増やし、総括としての活動レポートの内容の厚みが直近の目的となるかもしれません。また企業においても、SDGs推進担当の方々の目的はほぼ同じでしょう。

ところが、企業経営者の目から見れば、活動テーマの数と報告レポートの厚みだけでは満足できないどころか、貴重な資源を本当に割くべき価値があるのか、と思い悩まれると思います。ただ、世の中はまさにSDGsブームであり、ESGを意識する取引先の大手企業からも、協力企業として推進をも求められるのでしかたなく、というのが本音の部分ではないでしょうか。

もし、推進母体である官民の多数がこのような意識を持っているとしたら、遅かれ早かれブームは去っていくと思われます。となると、残念ながら、SDGsに懐疑的な先の経営者の、やっぱりね、という声が聞こえてきそうです。

SDGsの真価

さて、皮相的なことを書いてしまいましたが、SDGsは、特にビジネスの立場からは、本当のところどのようにとらえればよいのでしょうか?

一言でいえば、それがいかに企業にとっての「付加価値を生むか」にかかっています。というか、この一点にしか、私も含めて大多数の経営者は興味を持たれないはずです。

その付加価値は、直接的に収益に結び付くものと、間接的にじわじわと企業価値向上にかかわってくるものがあります。前者は、「SDGsを深く理解し、自社においてはどのような新しい事業のチャンスにつなげることができるのか?」という問いかけが必要です。後者には、「自社の企業理念や目的に照らし合わせてみたとき、その取り組みはたとえ短期的にはコストがかかったとしても、本当に自社こそが手掛けるべきか?」という問いかけが考えられます。

さらに後者は、対外的な本来の社会貢献と、対内的な企業の仕組みや働き方、体制の整備・変革の2つに分けられます。経営者の観点から、最初に関心を持つのは、あるいは持つ必要があるのは、次の2つの質問を念頭にSDGsへ取り組み、それが触媒となってあらたな価値を生み出すシナリオです。

「自社においてはどのような新事業のチャンスにつなげることができるのか?」という質問を、SDGsの観点から真剣に考えてみることはとても有意義です。そこから、SDGsのテーマを追求する新規事業が立ち上がり、経済的な収益を得て、一部を再投資に回し、残りを社会に還元することで、「サステナブル(持続的)」な社会と企業の健全な共存関係が育まれます。

そして、この企業における「サステナビリティ―(持続性)」を可能にするのは、もう一つの「どのように仕事のすすめ方を改善・変革すれば、より強い企業体質になれるか?」という問いに答える努力を、実直に継続することで達成されます。つまり、ちょっとやそっとのことではへこたれない、強い足腰をつくることです。

SDGsの真価はまさにここにあります。逆にこれ以外の要素は、企業経営にとっては副次的なものと言い切ってもよいのでは、と少々極論めいてことを考えています。

このように考えてくると、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱する「CSV=Creating Shred Value(共通価値の創造)」という概念に近づいてきます。ここでは、これ以上の深入りは避けますが、CSVは企業にとってはSDGsと同等か、それ以上に重要な概念であり、かつ普段から心掛けるべき「意識の持ち方」と言えます。

FBPへのお問い合わせはこちら

ページトップに戻る