【「世界ブランド化」への挑戦!】                     第2話 世界展開を考える時、行うべき「最初の一歩」とは?

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第2話 世界展開を考える時、行うべき「最初の一歩」とは?

目次

海外ビジネスに関するお問い合わせ

FBP-フォーカス・ビジネスプロデュースでは、2004年の創業以来、海外ビジネス展開の支援を行っており、その関係で多くの企業の皆様から関連するさまざまなお問い合わせをいただいております。

その中には、お問い合わせにお答えするだけで解決できてしまう場合も比較的よくあります。その場合、次の3つのケースにほぼ集約されます。

  • これから海外ビジネスを検討していくにあたって、基本的な情報収集を行いたい。
  • 具体的な課題が明確であるが、その解決方法が分からない
  • 海外展開には少し早すぎる段階、あるいは明確な目的が不明瞭

海外ビジネスに関する基本的な情報収集

海外展開にあたって、まず行わなくてはいけない最初の一歩が、「基本情報の収集」です。現地での情報収集に先立ち、今ではインターネットを通じて、本当に多くの、場合によってはディープな情報収集が可能です。

ただし、注意すべきはその情報ソースが信頼できるかどうかに留意する必要があります。

その意味で、まず、海外事業を思い立ったら、最初にアクセスすべきは、「JETRO(ジェトロ)」(独立行政法人日本貿易振興機構)が運営するウェブサイトです。ここでは、海外事業の目的、関心のある国や地域、産業の種類などに分かれて、非常に多くのアップデートされた情報が整っています。また、ジェトロ国内外の事務所、専門家などからのアドバイスを受けることも可能です。その上、海外企業とのビジネスマッチング・プラットフォーム 「TTPP(Trade Tie-p Promotion Program)」 もアクティブに展開されており、日本における最も重要な海外事業の総合プラットフォームです。

したがって、基本情報に関するお問い合わせには、たとえば、「その情報は、すでにJETROのウェブサイトにて詳しいレポートが用意されているので、ぜひ参照してみてください」、とお伝えしています。

民間の海外市場に関する情報提供、海外事業支援企業とのマッチングの総合プラットフォームとしては、Digima~出島~(株式会社Resorz)があります。ここでも、海外進出・展開に関する最新情報や進出ノウハウに関しても、さらに越境ECに関する情報も含めて有益な情報収集が可能です。

間違っても、この段階を経ることなしに、海外ビジネス支援会社などに情報収集のための調査を依頼しないことです。無料で提供されている豊富な情報を、わざわざお金を払って、さらには情報源がジェトロのウェブサイトだったなんてことにならないように。まずは、ご自身で情報を取りに行くという姿勢が大切です。その過程で、想定していなかった貴重な情報や出会いに恵まれることも多いものです。

海外認証、海外ビジネス支援などの専門サービスの活用

次に具体的な課題が明確な場合、「どうすれば解決できるか」、という例として多いのは、海外認証(CEマーク、FDA認証取得など)に関するお問い合わせです。

このようなお問い合わせには、まずは上記JETROのサイトなどで基本情報を調べ、その上で、「国内の専門サポートサービスを探してみてください」、とお伝えしています。このような技術的に明確な課題は、すでに多くのサポートサービス(含、国際認証機関の日本法人など)が日本国内で提供されており、インターネットで簡単に検索することが可能です。

ここでも、やはりまずはご自分でそのような国際認証機関などを探してみてください。この段階を飛ばして、海外ビジネス支援会社などに認証取得に関する情報収集のための有料調査を依頼してはいけません。せっかくの資金を無駄使いすることにならないように気をつけましょう。

次に、海外認証と同じように多い質問は、ある特定国への進出に関するさまざまなテクニカルな案件です。たとえば、その国での法人設立、法人設立後の税務・会計対応、さまざまなビジネス上の許認可取得、現地人材採用など…、ある国に進出することを決定している場合です。

当然、その前の情報収集段階や、さらにその前の段階(?)はクリヤしていることが前提ですが、このような場合、その国への進出を専門にしている進出サポートサービスを活用しましょう日本企業の進出の多い国であれば複数の専門サービスをインターネット検索で簡単に見つけることもできます。また、上記JETROのTTPPやDigima~出島~などの信頼できるプラットフォームにおいても探しだすことができます。

海外展開で本当のところ何をしたいのか?

「当然、その前の情報収集段階や、さらにその前の段階(?)はクリヤしていることが前提ですが、…」などと、少し奥歯にものがはさまったような言い方になってしまっているのには訳があります。

実は、この前段の部分を疎かにしてしまったばかりに、海外展開がトラブル続出、失速、撤退とはいかないまでも、いつまでも鳴かず飛ばずで、会社のお荷物状態になっているといった事例が多くみられます。

つまり、海外ビジネス成功の成否はかなりの部分、この前段にあるといっても過言ではありません。

この前段とは何でしょうか?

一言で言えば、それは、「海外展開で本当のところ何をしたいのか?」という質問に真剣に取り組み、経営者自らが納得のいく答えを得ているかどうかです。「腹落ちする」という表現が適切かもしれません。

「腹落ち」するためには、「そもそも自社は何のために存在しているのか?」といったそもそもの企業目的についても考え、さらには、それを「どのような思いや信念で実践していくのか?」、といった企業理念にも立ち返ることになります。

こうして第1話でお話した、そもそも「真に売るものを持っていますか?」という根本的な問いにいたります。今は、特にコロナ前の“ついこの間”とは異なり、社会や環境において企業や事業においても持続的(サステナブル)であることが世界的に求められ、問われる時代なのです。

この認識をしっかり持っていないと、海外市場だけではなく、今後、古巣の国内市場においても大きく影響を及ぼすこととなります。それほど、時代は大きく変わりつつあります!

また、この部分は、先にお話ししたテクニカルな部分と異なり、自社でしかクリエイトできない、そして大きな価値の源泉でもあるいわば「プライスレス」な企業資産です。

さて、お問い合わせの中には、本当に海外展開が必要なのかどうか迷っておられるケース、あるいは限られた資源の中、相当に難易度が高い計画を考えておられるケースにも遭遇することがあります。そのような場合には、お気を悪くされるだろうから申し訳ないと思いつつも、率直にその旨お伝えするようにしております。中には、感謝していただけることもありますので、やはりこのスタンスはこのまま継続しようと考えております。

海外展開で最初に確認するべき3つのポイント

最後に、海外展開の最初期に確認するべき3つのポイントを、ご参考まで挙げておきます。

海外展開のための目的を明確にする

ここまでの流れでお分かりの通り、なぜ今、海外展開なのか、何のための海外展開なのかといった目的を明確にする必要があります。

国内でできることは十分にやりつくしてしまい、本当にチャンスはないのか。どうしても海外でなければならないのかを理念や目的と合わせてあらためて問い直してみましょう。そのためには、まず現在の自社の状況を感覚ではなく、客観的な視点も含めて正確に把握し、そのうえで海外展開をするべき理由を明確に”言語化して”、考えてみてください。

自社に海外展開をするだけの基礎体力があるのかどうかを確認する

海外展開は思った以上にコスト、労力がかかります。特に経営資源が限られている中小企業の場合、中途半端に海外展開を始めてしまい、途中で資金が尽きてしまったとなれば、経営を左右してしまうことにもなりかねません。

そうしたことを防ぐためにも、現在の基礎体力をしっかりと把握し、長期的な視野で海外展開を進めていくことが肝要です。

幸い近年、越境ECが成長してきており自社に合ったプラットフォームを正しく選定することで、自社ブランドを築きつつ、海外市場に展開することが可能になってきました。B2C事業であれば、ぜひ、この選択肢を真剣に検討してみましょう。

会社として海外展開を行っていく意義を社内で共有する

海外進出を行うことは、特に中小の製造業において大きなリスクを伴う決断です。この決断を、全社を挙げて取り組み、その上成功に導くためには、経営者はもちろん全社員で海外展開を行っていくのだという意義や強い思いを共有する必要があります。

海外での展開は国内での事業展開以上にさまざまなリスクや想定外のことが起こり得ます。そうした際に全社一丸となり、ことに対応できるようにするには、最初の段階から経営者自ら海外展開への意義を全社員に伝え、その思いを共有するさまざまな機会を意識してつくることが重要です。

そして、そのためにも、企業理念や企業目的という根本に立ち返り、経営者自身が本気で事業に取り組む姿勢を社内においてリード(率先垂範)していく、という気構えで取り組んでほしいと思います。

最後に

「今さら企業理念や企業目的に立ち返るなど、海外展開に本当に必要なのか?そんな時間も、余裕もないのに!」というお言葉が聞こえてくるようです。

でもお考え下さい。

これだけ地球環境や社会のあり方を含めて世界が狭くなりつつある現在、国内・海外というステレオタイプで、シンプルすぎる20世紀以前の世界観を持ってビジネスを進めようとしている、そのことに危機感を感じませんか?

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